誰がためにアレは光る

コタツにもぐってたらダイオード(×2)が落ちてたんで、

「このまま輝くときを知らずにこいつらの一生を終わらせるくらいなら
彼らの散り際の狂い咲きを誰かに見せてやろうという気にはなりませんか」

とか適当なことを言ってJ科の彼に渡した。

突き返された。

彼は言う
「材料がないよ」。
「一応用意してみたんだけど」
私は棚から取り出したものを食卓に置く。

単3電池、クリップ。

「何これ」
「電源と導線」

冷ややかな侮蔑と嘲りの目
そして

「見てるから、やってみなよ」
「うん」

私はクリップとLEDをつないで、電池の両端にあてる

「…」
「…」
「光った？」
「…もしかしたらここが明るいから
　光ってるのがわからないのかもしれない」
「…そうか」

一人でコタツにもぐってやってみる
外からの声
「…どう？」
「…」
もぞもぞと出る

「何かに負けたって顔してるな」
「何がいけないのかな」

彼はためらいなく言い切った
「全部だ」




風瀬家は今日も平和です。